認知症について
私の祖父のお話です。数年前からアルツハイマー型認知症の診断を受け、現在も自宅で介護受けながら生活を送っています。
当時、私は他県に在住しており、祖父の変化に気付くことができませんでした。
後日、祖母から聞いた話により、認知症を疑うサインが頻回に見られていたことがわかり、小まめに連絡を取っていなかったことを大いに悔やんだ時期もあります。
祖父は元来真面目な性格で毎日、コーヒーを自分で淹れて飲むこと。その日にあった出来事を日記に記すこと。大好きだったプロ野球(当時の横浜ベイスターズの大ファンでした)の試合結果を新聞でチェックしていたこと。
これらを日課としていまたが、ふとした時から全くそれらをしなくなっていたとのことです。
また、買い物に自転車で出かけて帰り道がわからなくなってしまうこと。同じことを繰り返して聞くことなどが顕著にみられるようになっていました。
祖母から相談をもらうきっかけとなったのが、夜間急に「今から行かないと」と祖母の制止も聞かず外に出ようとすることがあったことです。その時に上記の状態がしばしばみられる様になっていたことを聞き、急いで帰郷し、知り合いの脳神経外科を受診、アルツハイマー型認知症の診断を受けました。
祖母はかなりショックを受けておりました。まさか自分の夫が認知症になるとは全く思ってなかったからです。
恥ずかしながら、当時の私は認知症のご利用者様と関わる機会こそありましたが認知症についてのより専門的な知識が乏しく、試験勉強の際に習った程度のことしか知らなかった為、祖母に的確なアドバイスもできず、なにより祖父に対してこれからどのように関わりも持っていけばよいのかもあやふやでした。
「認知症についてもう少し学ばなければいけない」
その時期から独学で認知症の勉強を始め、同年に認知症ケア専門士、認知症ライフパートナー検定2級に合格した経緯があります。
自分の話を多くしてしまいましたが、私が実際の経験や勉強を行うことで、認知症のご利用者様と関わる機会のある方に認知症の代表的な症状を踏まえてお伝えしたいことがあります。
《認知症》
認知症の中核症状とされる主な障害です。
◇記憶障害:昔のことは覚えているが、直近の出来事を忘れている。(出来事の一部ではなく、出来事全体を忘れている)
◇失見当:日時や季節などの時間・場所・人物に対する認識が失われる。
◇失後:言語の理解や発語ができない。“あれ”、“それ”等の言い回しが多くなる。(私もです)
◇失行:動作を行う能力の障害、服をうまく着ることができない(着衣失行)
◇失認:対象を認識できない。目の前にものがあることがわからない。
◇実行機能障害:物事の計画を立てる。手順を踏む作業ができない。(料理など)
◇その他:判断力の障害及び注意力の低下等。
上記が主な障害と言われています。
その中でも、よく皆様がイメージしているのは記憶障害の直近の出来事を忘れているということではないでしょうか。
実際私が介護現場でお仕事をさせていただいていた頃、当時の先輩が認知症の診断を受けているご利用者様の食事介助中に、
「○○ちゃん早く食べてや」
「どうしてそんなに食べるの遅いん?」
と大きな声で話しているのを聞き、介助後の先輩を捕まえて
「あんな言葉使いでいいんですか?」
と質問をしたところ、帰ってきた返答が、
「あの人は認知症、どうせ忘れてるから問題ない。」
とのことでした。
……今の私が聞いたら滅茶苦茶怒っています。
よく誤解をされていますが、認知症の方は確かに出来事そのものを忘れてしまう障害がございます。しかし、忘れているのは出来事であってその時に受けた気持ちや感情は残っています。
自分自身に当てはめてみてください。
理由はわからないのになぜか無性に悲しい気持ちになっていることを…。
何も覚えがないのに何故かとても腹立たしい気持ちになっていることを…。
認知症のご利用者様と接する際には、より心に寄り添った対応が必要になります。皆さんの持てる最高の笑顔で敬意を持って関わってみてください。
きっといい結果が返ってきますから!介護って面白いですよ(^^♪